はじめに
本記事では、57Z連携の第一ステップとして、S/4HANA Cloud Public Editionでビジネスパートナを登録し、MDI(SAP Master Data Integration)経由でSubscription Billingに顧客データが複製されることを確認する手順を解説します。
手順
Step 1: ビジネスパートナ管理アプリを開く
S/4HANA CloudのFioriラウンチパッドにアクセスし、検索バーで「ビジネスパートナ」と入力します。検索結果から「ビジネスパートナ マスタデータ管理」アプリをクリックします。
Step 2: ビジネスパートナ一覧画面
「ビジネスパートナ管理」画面が開きます。右上の「登録」ボタンをクリックします。
Step 3: ビジネスパートナの種別を選択する
種別の選択メニューが表示されます。サブスクリプション課金の対象となる法人顧客を登録するため、「組織」を選択します。
Step 4: 基本情報を入力する
「組織登録」ダイアログが表示されます。以下の項目を入力して「OK」をクリックします。
| 項目 | 入力値 |
| 名称 1 | 57Z-テスト株式会社 |
| 言語(標準通信) | 日本語 (JA) |
Step 5: ロールを追加する(FLCU00・FLCU01)
「ロール」タブをクリックします。FLCU00とFLCU01の2つのロールを「作成」ボタンで追加します。
- FLCU00(得意先 (財務会計)): 財務会計上の得意先として扱うためのロール。会社コードデータの管理に使用する。
- FLCU01(得意先): 販売エリアデータを含む得意先の拡張データを管理するロール。
なぜこの2つのロールが必要か?
MDIによるSubscription Billingへのデータ連携は、ビジネスパートナの作成・更新時に自動で実行されますが、連携対象となるのは以下のロールを持つビジネスパートナに限定されます。
詳しい条件については、ビジネスパートナの複製 | SAP Help Portalを詳細ください。
ロール 名称 FLCU00 得意先 (財務会計) FLCU01 得意先 CRM000 受注先 CRM002 出荷先 CRM003 支払人 CRM004 請求先
Step 6: 会社コード1510を追加する(FLCU00)
ロールタブ上部に「会社コード」タブが表示されます。クリックして会社コード一覧を開き、「作成」をクリックします。
| 項目 | 値 |
| 会社コード | Company Code 1510 (1510) |
| 統制勘定 | 売上債権 – 国内 (12100000) |
Step 7: 販売エリア1510/10/00を追加する(FLCU01)
「販売エリア」タブをクリックします。販売エリア一覧で「1510 / 10 / 00」の行の「>」をクリックして詳細を確認します。
| 項目 | 値 |
| 販売組織 | 1510 |
| 流通チャネル | 10 |
| 部門 | 00 |
| 通貨 | JPY |
Step 8: 保存する
「適用」ボタンをクリックしてBP詳細ページに戻り、「保存」ボタンをクリックして保存します。
Step 9: 登録結果を確認する
保存後、登録されたビジネスパートナの詳細画面を確認します。
- ビジネスパートナ番号: 1000270
- 名称: 57Z-テスト株式会社
- ロール: FLCU00(得意先 財務会計)、FLCU01(得意先)
- 会社コード: 1510
- 販売エリア: 1510 / 10 / 00
Step 10: Subscription Billingへの複製を確認する(MDI)
S/4HANA CloudでBPを登録すると、MDI(SAP Master Data Integration)が自動的にデータをSubscription Billingへ同期します。
Subscription Billingのラウンチパッドにアクセスし、「マスタデータとコンフィグレーション」タブの「顧客概要」タイルをクリックします。
顧客一覧に「57Z-テスト株式会社(1000270)」が表示されていれば、MDIによる複製が正常に完了しています。
Step 11: Subscription Billingの顧客詳細を確認する
顧客一覧の「57Z-テスト株式会社」をクリックすると、詳細画面が表示されます。
| 項目 | 値 |
| 顧客名 | 57Z-テスト株式会社 |
| 顧客ID | 1000270 |
| 顧客タイプ | 法人 |
| 住所 | 霞が関1-1-1, 100-0013, 千代田区, 日本 |
| 顧客マスタデータ | 1000270(S/4HANA Cloudへのリンク) |
「顧客情報」タブをクリックすると、顧客の一般情報が表示されます。
Step 12: マーケットが自動設定されていることを確認する
「顧客情報」タブを下にスクロールすると、「マーケット」セクションに「日本(JAPAN01)」が自動で設定されていることが確認できます。
マーケットとは?
Subscription Billingにおけるマーケットは、S/4HANA Cloudの販売エリア(販売組織/流通チャネル/部門)に相当する組織データです。顧客への料金設定や売上分析のキーとして機能します。
Subscription Billingではマーケットと販売エリアの対応関係を事前に設定しておくことができます。MDIによるBP複製の際、そのBPが持つ販売エリアをもとに対応するマーケットが自動で顧客に紐付けられます。
今回の例では、S/4HANA Cloud側でBP 1000270に販売エリア「1510 / 10 / 00」を設定したことにより、Subscription Billing側でマーケット「JAPAN01」が自動的に割り当てられています。
Step 13: 外部オブジェクト参照を確認する(MDIマッピング)
「顧客情報」タブを開き、下部の「外部オブジェクト参照」セクションを確認します。
| 外部システム | IDタイプ | ID |
| S/4システム番号 | ERP 顧客番号 | 1000270 |
| S/4システム番号 | ビジネスパートナ番号 | 1000270 |
| SBシステム番号 | ERP 顧客番号 | 1000270 |
| SBシステム番号 | ビジネスパートナ番号 | 1000270 |
S/4HANA CloudのBP番号とSubscription BillingのMDIマッピングが正しく設定されていることを確認できます。
まとめ
- S/4HANA Cloudでビジネスパートナ(組織)を作成
- ロールFLCU00・FLCU01を付与
- 会社コード1510を追加
- 販売エリア1510/10/00を追加
- BP番号1000270が発番されたことを確認
- Subscription BillingのMDI連携により、顧客データが自動複製されたことを確認
次回の記事では、料金要素(Rate Element)登録について解説します。



