はじめに
本記事では、57Z連携の第四ステップとして、Subscription Billingで製品(Product)を登録する手順を解説します。
前回の記事で登録した料金プランテンプレート(57Z 料金プランテンプレート)を用いて製品を作成し、料金プランを構成・公開するまでの手順を取り上げます。
製品とは
製品は、市場に提供するサブスクリプション商品本体です。製品には少なくとも1つの料金プランが紐づき、マーケット(市場)ごとに1つの料金プランを持ちます。料金プランがその製品の「価格・課金方法(一回限り/定期/従量)」と請求サイクルを具体化します。
製品には以下の情報を設定します。
| 項目 | 説明 |
| 一般情報 | 製品名・ID・サブスクリプションタイプ・プロファイル |
| 料金プラン | マーケット・料金プランテンプレート・価格の組み合わせ |
| 技術リソースタイプ | 使用量データの受け口(使用量ベース課金に必要) |
| サブスクリプションパラメータ | 繰り返し請求における数量管理項目 |
| サブスクリプション期間 | 取り消し期間・初期固定期間・予測期間など |
製品を公開することで、サブスクリプション作成時に選択できる状態になります。
手順
Step 1: 製品管理アプリを開く
Subscription Billingのラウンチパッドにアクセスし、「製品管理」アプリを開きます。
製品一覧が表示されます。画面上部の「作成」ボタンをクリックします。
Step 2: 一般情報を入力する
新規作成フォームが表示されます。以下の項目を入力します。
| 項目 | 入力値 | 備考 |
| 製品名 (日本語) | 57Z_IoTサービス製品 | 画面表示用の名称 |
| ID | PZRK1_IOT_57Z | プロジェクト固有のID体系に合わせて命名 |
| サブスクリプションタイプ | コマーシャル | 販売対象の製品 |
| サブスクリプションプロファイル | S/4 Integration | S/4HANA Cloud連携用プロファイル |
Step 3: 料金プランを作成する
「料金プラン」タブをクリックします。初期状態では料金プランが登録されていません。
「作成」ボタンをクリックすると、画面右側に「料金プラン作成」パネルが表示されます。
以下の項目を入力します。
| 項目 | 入力値 | 備考 |
| マーケット | 日本 | 対象マーケット |
| 料金プランテンプレート | 57Z 料金プランテンプレート | 前回の記事で作成したテンプレート |
| 説明 | 57Z IoTサービス 料金プラン | 必須項目 |
入力後、「作成」ボタンをクリックします。
Step 4: 技術リソースとサブスクリプションパラメータを追加する
「作成」ボタンをクリックすると、「技術リソースおよびサブスクリプションパラメータの追加」ダイアログが自動的に表示されます。
ダイアログには、料金プランテンプレートに定義された料金要素が自動的に表示されます。
| セクション | 項目 | 備考 |
| 技術リソースタイプ | 57Z_従量課金 (RZRK1_USG_57Z) / ZRK1_USG_57Z | チェック済み(自動) |
| サブスクリプションパラメータ | 57Z_定額料金 (RZRK1_REC_57Z) | チェック済み(自動) |
チェックボックスが選択された状態であることを確認し、「選択済みアイテムの追加」ボタンをクリックします。
このダイアログの意味
料金プランテンプレートに含まれる料金要素のうち、使用量ベースのものは「技術リソースタイプ」として、繰り返し(定額)のものは「サブスクリプションパラメータ」として自動提案されます。これらは製品のサブスクリプション作成時に必要な情報です。
Step 5: 料金プランが追加されたことを確認する
ダイアログを閉じると、料金プランタブに以下の行が追加されます。
| マーケット | マーケット有効化ステータス | 通貨 | 料金計算サイクル | 価格設定スキーム |
| 日本 (JAPAN01) | 有効 | JPY | — | — |
| ↳ 57Z IoTサービス 料金プラン | — | — | 月次 (毎月 1 日) | Initial pricing scheme |
この時点では料金プランに価格が未設定のため、警告マーク(オレンジ)が表示されます。価格の設定は後述のルックアップテーブルデータ管理で行います。
Step 6: サブスクリプション期間を設定する
製品の「サブスクリプション期間」セクションに以下の値を入力します。
解約ポリシー
| 項目 | 入力値 | 備考 |
| 取り消し期間 | 5 日 | 契約開始後に無条件で取り消せる期間 |
期間
| 項目 | 入力値 | 備考 |
| 初期固定期間 | 12 カ月 | 最低契約期間 |
収益認識
| 項目 | 入力値 | 備考 |
| 予測期間 | 12 カ月 | 収益予測の対象期間 |
Step 7: 製品を保存する
フッターの「作成」ボタンをクリックして製品を保存します。
保存後、製品の詳細画面に遷移します。ヘッダに製品名「57Z_IoTサービス製品」とID「PZRK1_IOT_57Z」、公開ステータス「未公開」が表示されます。
Step 8: ルックアップテーブルデータで価格を設定する
製品を保存した直後は、料金プランに価格が設定されていないため警告が表示されます。
「ルックアップテーブルデータ管理」アプリを開き、RecurringPriceテーブルとUsagePriceテーブルに、本製品(PZRK1_IOT_57Z)の価格行を追加します。
| テーブル | 製品コード | 単位 | 価格 |
| RecurringPrice | PZRK1_IOT_57Z | EA | 30,000 JPY |
| UsagePrice | PZRK1_IOT_57Z | HUR | 500 JPY |
RecurringPrice テーブル
UsagePrice テーブル
価格設定後、製品の料金プランタブで警告が消えていることを確認します。
Step 9: 製品を公開する
保存完了後、ヘッダの「公開」ボタンをクリックします。
公開が完了すると、「公開」ボタンが「公開解除」に変わり、公開ステータスが「公開済み」になります。
登録完了後の確認
公開後、以下の状態になっていることを確認します。
| 項目 | 値 |
| 製品名 | 57Z_IoTサービス製品 |
| 製品ID | PZRK1_IOT_57Z |
| 公開ステータス | 公開済み |
| 料金プラン | 57Z IoTサービス 料金プラン(日本/JPY/月次) |
| 技術リソースタイプ | RZRK1_USG_57Z(ZRK1_USG_57Z) |
| サブスクリプションパラメータ | RZRK1_REC_57Z |
| 取り消し期間 | 5日 |
| 初期固定期間 | 12カ月 |
| 予測期間 | 12カ月 |
S/4HANA Cloud側への連携確認
製品を公開すると、MDI(SAP Master Data Integration)を経由してS/4HANA Cloud Publicの製品マスタに自動的にレプリケーションされます。
注記: このセクションは料金要素登録(Part 3)にも同内容が記載されています。料金要素登録後の時点では料金要素のみが確認対象ですが、製品登録・公開後は製品と料金要素の両方が一覧に表示されます。
レプリケーション後の製品タイプ
S/4HANA Cloud側では、Subscription Billingから連携されたオブジェクトは以下の製品グループ/タイプで登録されます。
| Subscription Billingのオブジェクト | S/4HANA Cloud側の製品グループ/タイプ |
| 製品(Product) | 購読請求製品 (SBPD) |
| 料金要素(Rate Element) | 購読請求レート要素 (SBRE) |
S/4HANA Cloudでの確認手順
S/4HANA CloudのFioriラウンチパッドにアクセスし、「製品マスタデータ管理」アプリを開きます。
検索フィールドに *57Z* と入力して「開始」ボタンをクリックすると、本記事で登録した製品と料金要素が製品マスタとして連携されていることを確認できます。
| テキスト | ID | グループ/タイプ |
| 57Z_IoTサービス製品 | PZRK1_IOT_57Z | 購読請求製品 (SBPD) |
| 57Z_定額料金 | RZRK1_REC_57Z | 購読請求レート要素 (SBRE) |
| 57Z_従量課金 | RZRK1_USG_57Z | 購読請求レート要素 (SBRE) |
参照: レプリケーションの詳細な設定や前提条件については、SAP Help Portalの以下のページを参照してください。
Replication of Products and Rate Elements | SAP Help Portal
なお、一部の項目については初期作業としてマニュアルでの値の追加が必要です。詳細は上記のHelp Portalページを確認してください。
まとめ
本記事では、以下の手順を実施しました。
- 製品(PZRK1_IOT_57Z)を新規作成
- 製品名:57Z_IoTサービス製品
- サブスクリプションタイプ:コマーシャル
- サブスクリプションプロファイル:S/4 Integration
- 料金プランを追加
- マーケット:日本(JAPAN01)、テンプレート:57Z 料金プランテンプレート
- 技術リソース(RZRK1_USG_57Z)・サブスクリプションパラメータ(RZRK1_REC_57Z)を自動追加
- サブスクリプション期間を設定(取り消し期間5日・初期固定期間12カ月・予測期間12カ月)
- ルックアップテーブルで価格を設定(RecurringPrice・UsagePrice)
- 製品を公開
次回の記事では、サブスクリプションの作成について解説します。公開済みの製品を使ってサブスクリプションを作成し、顧客への課金を開始するまでの手順を取り上げます。



